「用は、お兄ちゃんに作ると思えばいいのよね」

　このセリフだけ聞くと、どことなくブラコン臭が漂うのだが。別にそういうわけではない。
　和奈の兄は年子でひとつ上。めでたく浪人が決まって、現在予備校生。
　けれど年上だからといって、現在の高３男子とさほど嗜好や摂取量に変わりがあろうとは思えない。そういう意味では、想像しやすいモデルではある。
　というわけで、ばたばたと戸棚を探し。とりあえず兄が使っていただろう弁当箱を出す。
　そして、兄という家族に作る的さりげなさを演出してみる。そうすると

　「わぁ、ひどい」

　白米と海苔だけになった。
　リアル妹なんてそんなものである。兄は生きたサンドバックと思っているせいか、兄につくるとなると白米だけでいーじゃん、ふりかけ一個入れてやんよぐらいの扱いの粗雑さである。
　もしかしたらどこかに、お兄ちゃんのために一生懸命つくったの。残さず食べないと許さないぞ☆的妹もいるのかもしれないが、とりあえず和奈はそれとは別次元の生き物らしい。

　「兄のことは置いておこう」

　ついでに白米だけの弁当も脇へ押しやる。これはあとで本当に兄にもたせればいい。ふりかけぐらいつけてやんよ。

　そんなわけで再び悩みだすわけだが。
　もういっそ、自分と同じにすればいいこととする。

　「自分と同じで、量をこの弁当箱にすればいいのよ」

　そう、あくまでついで。これはついで。
　自分のついでに持って行くもの。

　本当は違うのだが、そういう体裁を取り繕ってしまうところが、悪いところだったりする。
　相手が聡いのであれば、それでもかまわないのであろうが。相手はあのニブニブ星人であったりする。「ついでよついで」などといえば「そうか、ついでか。ですよね、わかってた」とか言う相手なのだ。

　「……のりでLOVEとか」

　かいた見ようかと思うが、もはやそれはギャグでしかない気もする。

　「……って！」

　時計は６時を回っている。
　あわてて弁当を詰め始めるのだった。


　　　　　＊　　　　　　＊　　　　　　＊


　「はい」
　「お、サンキュー。マジ助かる！」

　やっぱり相手は気がつかない。
　
　でもなんとなく、喜んでもらえるだけで嬉しいとか思ってしまう。
　いつもは隣に並ぶの、歩調を遅らせて、表情を隠す。

　「いいお嫁さんになるわー」

　でもそろそろ、蹴り飛ばしてやろうかとは思った。





　

　←現在

　←昔w



　…とにかく、染まったよね。

　Σこうならないと、生き抜けなかったんだよ。うわぁん！


　とにかく、過去は振り返りたくなかった和奈さんでした

　「とりあえず」

　用途に従うならば、ベッドの上だが。
　自分のベッドの上に、プリントされた抱き枕がある光景は。

　「…ありえない」

　却下されました。てゆか、それを横において寝るとかぜったい無理だそうです。

　ではどうしましょう。
　かといって、粗雑に扱うのもなんなわけで。
　なのでそっと、部屋の片隅に立ててみます。

　「…………///」

　片隅にひっそり立ってるわけです。見守ってるわけです。なんか微妙なドヤ顔が超むかつきますが、それはさておいても。

　「着替えられない！！」

　意外と和にゃん、繊細でした。
　なので、しかたない。
　
　「押入れはいってなさい！！」

　結局抱き枕は、クローゼットの中に封印されましたとさ。





　おまけ：

　「ったく！ほんとこのニブチンーーー！ばかーーーー！！！！」

　時折出されては、八つ当たりされるというかわいそうなことになりましたとさ。
　アイテムの効果としては、使用すると和にゃんの殴り愛ゲージが若干下がるらしい。
　そのうち都市伝説になるかもしれません

　
　春の風。
　
　教室の窓は開いていない。花粉症の人がいるからかしら。
　実はそわそわしている。古典の授業が頭に入らない。困るなぁ。んー？
　（……おべんとうかぁ。でもなんかイキナリ豪華にしたらあれだよねぇ。自分のついでみたいな感じ？）
　…でもあのニブニブのことだ、ついで風を装ったら本当に「ついで」としか思わないはず。確信できる。くそう、斜め前の頭にシャーペン突き刺してやりたい。
　
（好みは聞いたけど、曖昧なんだよねー。ふつーの料理がいいとかいうな、バカモノ）
　
　普通の定義は幅広すぎる。イナゴの佃煮だって普通は普通だ。
　いや、ちょっと普通じゃないか？まぁいいや、そもそも私が食べたくない。
　とりあえず、こういう時は先人の知恵である。クックパッドもよいけれど、本が好き。
　海苔でなんか書いたら、さすがに気がつくかな。
　…私が恥ずかしくて、死んじゃうな。

　こんな風に、死ぬかもとか思ってるからだめなのか。いっそ死ぬ気でいくべきか。
　でもこの学校、死ななくても闇堕ちとかあるし。告白だめで闇堕ちしたとか、デモノイド系ではよく聞く話だからなー。

　とここまで考えて。
　海苔で何か書いたとしても。それがＩ　ＬＯＶＥ　ＹＯＵだったとしても
　ギャグとしか思わないよねぇ……


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つづくｗ

　………。

　背後：どうした和！？

　……（涙目もにゅ）

　背後：いや。大丈夫だから！ちょっと細身なだけだから！てゆか、ぺたんでも死なないから！

　……牛乳ってきくんですかね？

　背後：都市伝説だって聞いたけどなぁ。

　…なんでリア充タイガーは、私の完璧なサイズ知ってるの…？

　背後：いや、それは…っ　と、特殊能力？つか、バニー服なんてもの着てれば、わかりそうなものだけどな（体のライン丸見えだし）

　 ……とにかく二人を殴るしかない。そうだ、殴るしかないんだ

　背後：二人とも逃げてーーー！！


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　と、和はたそがれてますがw
　お二人ともホワイトデーのおかえしありがとうございました！

　これからもよろしく遊んでくださいませませ！